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  <title>どうか　さがさないで</title>
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  <description>踏みとどまった思いの行き先</description>
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    <title>わんにゃん</title>
    <description>
    <![CDATA[　目の前にある坂道を下ってくるのは、40代半ばと思われる、黒いダウンコートを着た女性。彼女の足元ではねるように歩くのはチョコレート色をしたトイプードル。<br />　わたしはぼんやりとトイプードルを見ながら、隣を歩く彼がいつ、犬に気づくのか考えた。どんどんと距離が近づいていく。彼は何も話さない。寒いのだ。わたしの右手と彼の左手はしっかりと繋がれたまた、彼のコートのポケットにおさまっている。手袋を買おうとしたら、彼に止められた。それ買ったら、なっちゃんと手つなげないじゃん。唇を尖らせる彼が本当に本当にかわいくて、ほんのちょびっとだけ「バカじゃないの？」と思ったが、結局わたしはこの冬、手袋を買っていない。バカなのはわたしも一緒だ。<br />　トイプードルとすれ違う瞬間、彼はようやく口を開いた。「あ、犬」短く、それだけつぶやくと、首を回してトイプードルを目で追いかける。ポケットの中で、彼の親指がわたしの手の甲を撫でる。<br />「なっちゃんの手がモフモフしてたら、最高だよね」<br />　そう笑ったのは、先週、テレビでやっている犬猫特集を見ていたときだった。わたしは自分の手を見て、腕を見て、「モフモフしてないからねぇ」と答えた。「でも、わたしがモフモフしてたら、会うたびにアレルギーだよ」そう付け足すと、彼は驚いた顔をして、そのあと肩を大げさに落とした。<br />　盲点だったようだ。<br />　彼は動物の毛アレルギーである。くしゃみが止まらないようで、そのことを知らずにわたしがデートで猫カフェに行きたい、と主張したとき、彼は笑顔で了承した。デート当日、彼はふだんかけないメガネとマスクを装備して来た。話を聞くとそういうことだったので、わたしは行かない提案もしたのだが、彼がどうしても行きたいと言い張り、結果、鼻水と涙にまみれたカフェデートとなった。アレルギーなのに、好きなのだ。スギ花粉すらアレルギーのないわたしは、彼のその感覚がわからないが、つらいんだろうなぁ、と思っている。<br />　ポケットの中でわたしの手の甲を撫でていた彼の親指が動きを止めた。わたしは彼を見上げて、「どうしたの？」と尋ねる。<br />「やっぱさぁ、なっちゃんがモフモフしてたらいいなぁって」<br />「せめてトイプードルみたいなぐりぐりパーマでもかけましょうか？」<br />　冗談のつもりでそう言った途端、彼の表情がみるみるうちに明るくなる。<br />　ええー？ほんとにー？なんて、滅多に見れないデレ顔だ。わたしは笑った顔のまま固まっている。このあと言われるであろう一言が予想できる。待って待って、ダメダメ、こんなデレデレとした、ゆるみきった顔でそれを言われたらわたしの返事は一つしかない。<br />「なっちゃん、明日の夜空いてるって言ってたよね。お店、予約しておくね」<br />「わあ、ありがとう」<br />　わたしの棒読みお礼なんて気にせず、彼は上機嫌で鼻歌をうたいだした。百年先も愛を誓ってくれるみたいだけど、その愛は、わたしが求めてる愛なのかなぁ。ポケットの中で繋がっている彼の手を強く握る。<br />　そんな疑問、今まで何回も考えてきた。その度に、気にしない風を装っている。わたしは、彼の中でどういう存在なんだろう。<br /><br /><br />]]>
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    <category>現代</category>
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    <pubDate>Mon, 23 Feb 2015 10:16:35 GMT</pubDate>
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    <item>
    <title>人事部とディーラー</title>
    <description>
    <![CDATA[　わー犬だー、と暑さで少し頭がやられたオレは、ふらふらと散歩中の犬へ近寄った。飼い主さんはにこにこと笑いながら「チャッピー、ごあいさつはー？」なんてなごやかだ。ああ、この暑さにもふもふするだなんて、とてつもなく拷問に思えるはずなのに、どうしてオレの脳みそは犬へ突進しろと命令するのだろうか。そしてそれに素直に従うバカな足。<br />
　うふふふ、と今にも笑い出しそうなオレに対する、かわいいわんわん（ちなみにこのチャッピーは柴犬となにかが混じった、垂れ耳黄土色の雑種だ）の反応は冷たかった。牙をむき出し、殺意もこもっていそうな威嚇。止まれないオレの手は、大きく口を開いたチャッピーにがぶりと噛みつかれた。<br />
<br />
「チャッピー!?」<br />
<br />
　オレ以上に驚いてる飼い主さんの声にびっくりして思わず後ずさった。忘れていたけど、ここ、土手になってた。芝に覆われた斜面に足を落としたオレはそのまま転がり落ちる。飼い主さんとチャッピーの顔が並んで見えて、あ、ペットは飼い主に似るって本当だな、と思った。優雅に手を振る飼い主のいう「挨拶」って、もしかしたら「私に変な虫がつかないよう、あーたが成敗いたいしなさい」っていうことなのかな。ごろごろごろ。<br />
　斜面の途中で体が止まる。おかしいと思ったのはそれだけではなく、右手に当たる人肌だ。あたたかい。生きてるんだね、とかそういうんじゃない。日差しがぽかぽかを通り過ぎてる（だって梅雨明け宣言されたし）今日、ここにどれぐらいいるんですか？  ってぐらい熱い。てかだんだん２人の接着面が汗ばんできた。<br />
　これがきれいなお姉さんだったら新しい出会いを作ってくれたチャッピーとその飼い主に感謝するんだけどなぁ。現実はなかなかうまくいかないよね、と手の主を見る。<br />
　眉間にしわを寄せながらも眠るその人は、髪の毛が長かったら勘違いしたかも、と思うような寝顔を世間様にご披露していた。この辺りで働く人なんだろうか。いくら慣れ親しんだ場所とはいえ、無防備すぎない？  東京の人は冷たいっていうけど、そんなことないんだぞ！を証明しようとしてるのか、顔の近くに携帯が置かれている。今、あなたがあたたかいことを証明できてるのは太陽光だけです。ほんと、暑い。<br />
<br />
「ん……」<br />
<br />
　より一層眉間にしわが寄り、オレの手が強く握られてからややあって、ゆっくりと彼の目が開けられた。思ったより大きくない目だな、と失礼なことを思ってみる。<br />
　沈黙と見つめ合い。<br />
　なにも知らない人から見たオレらってかなり怪しいよね。どんな関係かしらって勘ぐっちゃうよね。わかってんだ、わかってんだけどさ、この人の手が、指が、同じ男なのかって疑いたくなるぐらいキレイだからさ、離すのがもったいないっていうか、まぁ、しっかり握られてるからオレだけの意志では離せないんだ、これが現実。<br />
　合わせていた視線にズレが生じる。彼が２人の肌と肌の触れあう箇所へ目を動かした。<br />
<br />
「そういうのが好きな人？」<br />
<br />
　怪訝そうな顔でいわれたのでとりあえず首を左右に振っておいた。そういうのってどういうの？  という質問は、これからしようと思う。<br />
<br />
<br />
<br />
]]>
    </description>
    <category>未選択</category>
    <link>http://hohoihoi.blog.shinobi.jp/%E6%9C%AA%E9%81%B8%E6%8A%9E/%E4%BA%BA%E4%BA%8B%E9%83%A8%E3%81%A8%E3%83%87%E3%82%A3%E3%83%BC%E3%83%A9%E3%83%BC</link>
    <pubDate>Sun, 02 Aug 2009 23:57:31 GMT</pubDate>
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    <item>
    <title>不透明な未来はどうにかなんだろ、どうにかするさ、してやるさ！</title>
    <description>
    <![CDATA[「つっつー、こっちこっち」<br />
<br />
　へらへらと笑いながら立ち上がり、ふらふらと手を振るトラ先輩を見つけ、オレは呼ばれるがまま足を動かした。テーブル間の通路は狭く、店内は客たちの騒がしい話し声であふれ返っていて、頭が痛くなる予感がした。いわゆる頭痛フラグってやつね。<br />
<br />
「やーすまんね、急に呼び出して」<br />
「別にいいんすけ」<br />
「どうせつっつーヒマだろうと思ってさぁ」<br />
「事実をはっきりといわれるとこんなにも腹ただしいんすね」<br />
「ま、座れば？」<br />
<br />
　近くを通った店員に、先輩はアイスコーヒーを追加注文する。うーん、おごりかな。<br />
<br />
「でさぁ、つっつーボインが好きっていってたじゃん？　この前の飲み会で」<br />
「え？　あー、……えぇー？」<br />
「オレは忘れてねぇかんなー。つっつーがボイン好きっていったのを、しっかり覚えてる！」<br />
「いやまー飲みの席ですし」<br />
<br />
　ははは、なんて乾いた笑いは先輩のゆるい笑顔によって流された。肩をすくめ首を横に振る。一見腹立たしく思う行動も、トラ先輩がやるとかわいく思える不思議。<br />
　昔々、思わず本音がポロリしたときは、ケツをつかまれ「掘るぞ」と低い声でおどされたなぁ。あー若かったオレ。今とさして変わってないオレ。てことは今のオレも若いのか。<br />
<br />
「男なら自分の言葉に責任持てよ」<br />
「先輩にだけはいわれたくねー」<br />
<br />
　アイスコーヒーを置いてく店員に軽く会釈をし、ガムシロもミルクも入れずに一口飲んだ。うまい。味の違いはよくわかんないけど、うまい。気がする。いや、うまい。<br />
　ニヤニヤと笑う先輩が気持ち悪い。なんすか、と聞けば、いやあ、と返された。<br />
<br />
「つっつーは色男だな」<br />
「はあ？」<br />
「ボインの子、あの時の飲み会でつっつーのこと気に入ったっつってた」<br />
「いやいやオレ記憶ないんで、誰がいたかもよくわかんな」<br />
「だってさぁ、なんだっけ、ヨーコちゃんだっけ？　話聞いてる限り見込みなさそうじゃん」<br />
「……先輩」<br />
「あっはは。新しい出会いも大切だと思うよ」<br />
<br />
　トラ先輩のいうことに間違いはない。確かに見込みないし、未来は決して暗くはないけどだからといって明るいわけでもない。ああそうさ、平行線しかないさ。交わることも近づくこともない平行線だ。なんてつまらない関係！ちぇっ、んなの自分でもわかってるよ。<br />
　アイスコーヒーを口に含む。隣の席で携帯をいじる女性客の、カットソーの中のキャミソールについたレースの下から見える白い素肌の谷間に目がいくのはごく自然な行動だ。悪いのはオレじゃなくて、そういう服装をチョイスした彼女なんだ、と責任を転嫁して視線をトラ先輩へ戻す。<br />
　すると、口をぱくぱくさせながら「好みか？」と聞いてくる。「かもしんねっすねー」適当に答えたら「よしきた」と言わんばかりに彼女の肩をたたいた。<br />
<br />
「おねーさん今ヒマ？」<br />
「え、ちょ、せんぱ？」<br />
<br />
　オレが目を丸くしてる間に先輩は彼女と２、３言葉を交わしている。こそこそと耳打ちをするものだから、こっちには会話がまったく聞こえてこない。ていうか店内の客が騒がしすぎるんだよ。ちくしょう頭いてぇし。予感的中嬉しくない。<br />
<br />
「うはは、つっつー面白い顔してる」<br />
<br />
　先輩が笑う。隣の席の女性と目が合う。上がった眉、だけど目尻は垂れていて、なんとなく、トラ先輩のいとこと紹介されたら納得するな、とぼんやり考えた。<br />
　ぽったりした唇とか、ちょうツボ。<br />
　トラ先輩が女だったら惚れるのに、と冗談でいったら、姉ちゃんだけはやらねーぞ、と笑われたこともあったなぁ。そういやあんとき、先輩に似てるいとこを紹介してくれるとかしてくれないとか……ダメだ、酒の席の記憶は遥か彼方へと走り去っている。背中がまったく見えない。オレ、マラソンとか苦手だしなぁ。<br />
<br />
「この子、えなっちゃんだから」<br />
「江夏ですー」<br />
「は？」<br />
<br />
　今のやりとりでそこまで発展してたの？  なんなの？  先輩どんだけ聞き出し上手なの？  てか、えなつさんもどんだけノリいいの？<br />
<br />
「いやいや、さっき話してたボインちゃん」<br />
<br />
　親指を立てて２人が笑う。なんかほんと、似てるって。血縁者だろあんたら。<br />
　ゆるゆると、笑うえなつさんの赤茶色の髪が揺れて、なんかもう、どうでもよくなった。<br />
　「よろしく、じゅんぺーくん」と笑うその顔がかわいかったから、それだけでよしとしてもいい気がした。だって別に、オレと葉はつきあってもいない、なんでもない関係だしさぁ、どストライクこられたらもう、ねぇ？<br />
　あーちくしょう、明日のオレに期待する。そうする。だからここは、とりあえずえなつさんと握手だ、と頭の痛みに語りかけた。<br />
　これで頭痛も治ればいいのに。<br />
<br />
<br />
<br />
]]>
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    <category>未選択</category>
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    <pubDate>Sun, 02 Aug 2009 23:55:30 GMT</pubDate>
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    <item>
    <title>君といた時間は嘘じゃないから</title>
    <description>
    <![CDATA[「ごめんね、アタシ、行くから」<br />
<br />
　泣き出しそうな男の目を見つめながら、初美は静かにそう言った。男は首を左右に振り、行かないで、と目で訴える。うるんだ瞳に初美の胸は痛んだが、だからといって自分の夢を捨ててこの男と一緒にいるわけにもいかないし、この町にとどまるわけにもいかない。<br />
　前へ進むのだ。そのための取捨選択なのだ。<br />
　なにかを始めるためには、なにかを捨てなくてはいけない。あれもこれもそれもどれも手にしたままなんて、そんな欲張りになれないし、初美の手は大きくない。<br />
　胸が痛むのも、そんなものは今この瞬間と１週間ぐらいで、時間がたてば彼の揺れた目の色だって忘れてしまう。<br />
<br />
「はっちゃん」<br />
「ごめんね」<br />
<br />
　謝るのは誰のため？<br />
<br />
「それでも私は行かなくちゃ」<br />
「でも」<br />
「ゆうくんには、アタシよりもっともっといい人がいるよ」<br />
「や」<br />
「アタシにだって、もっともっといい人がいる」<br />
<br />
　世界にいる男は、彼だけではない。<br />
　初美はかばんから財布を出すと、その中から千円札を抜いた。<br />
<br />
「だけど、付き合ってたことを忘れるつもりはないし、なかったことになんかしない。ゆうくんと出会って、付き合って、アタシの中のなにかは変わったと思うし、ゆうくんの中のなにかも変わったと思う。今までありがとう。ゆうくんのこれからが、もっともっと素敵なものであるように願っています」<br />
<br />
　テーブルの上のカップに額がぶつからないギリギリのところまで頭を下げ、顔を上げた初美はにこりと微笑む。「ケーキ代」といいながらテーブルの真ん中に千円札を置いて立ち上がった。<br />
<br />
「はっちゃん」<br />
「ばいばい」<br />
<br />
　この町には帰ってこない。<br />
　彼にはもう二度と会わない。<br />
　もう一度頭を下げて、初美は体を回転させた。深く息を吐いて、前を向く。店のドアは太陽光を浴びて白く輝いていた。<br />
<br />
<br />
<br />
]]>
    </description>
    <category>未選択</category>
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    <pubDate>Sun, 02 Aug 2009 23:54:05 GMT</pubDate>
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  </item>
    <item>
    <title>続かない予感</title>
    <description>
    <![CDATA[　お願いだから、とのどを震わした声はあまりに微弱な空気振動で、きちんと相手に伝わったか不安になった。しかし僕は顔を上げることができない。弱虫泣き虫根性なしと罵られたってかまわなかった。ただ、彼女にすがって泣くことしかできない。<br />
<br />
<br />
----------------------------------------<br />
がしたからさっさと上げる。うーん、なにがなにやら……<br />
]]>
    </description>
    <category>未選択</category>
    <link>http://hohoihoi.blog.shinobi.jp/%E6%9C%AA%E9%81%B8%E6%8A%9E/%E7%B6%9A%E3%81%8B%E3%81%AA%E3%81%84%E4%BA%88%E6%84%9F</link>
    <pubDate>Wed, 01 Jul 2009 00:28:03 GMT</pubDate>
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  </item>
    <item>
    <title>君への思いは常に直線なのです</title>
    <description>
    <![CDATA[　朝から雨が降っていた。<br />
　あまりテンションは上がらないが、かといってただ下がりするわけでもない。雨の日は雨の日独特のテンションがあると思う。静かに燃えるというか、なんというか。<br />
　稽古場に向かう途中、咲いているあじさいにひかれていつもと違う道を歩く。<br />
　土がアルカリ性か酸性かで色が変わると聞いたが、同じ場所に咲いているのに赤紫も青紫もある。案外適当なのかな、と思いながらなんとなく写真を撮った。<br />
　傘はこの前新しく買ったので、雨粒をよくはじく。ジーパンのすそは雨を吸って色が変わっていたが、どうせ稽古場に着けばジャージに着替える。稽古の最中に乾くだろう。<br />
　しとしとぴっちゃんしとぴっちゃん。昔の人のセンスには驚くばかりだ。<br />
<br />
「おはようございます」<br />
<br />
　挨拶をして稽古場に入る。回り道をしたが、十分すぎるぐらい早く着いた。中にいたのはノートパソコンとにらみ合う香月（かつき）さんのみ。わあいちょう嬉しい、カズ、運命感じちゃう！なんていっても香月さんは取り合ってくれないのを知っているので、作業の邪魔をしないように静かに着替えた。<br />
　けど、誰も来ない。ペットボトルをくわえながら香月さんの向かいに腰を下ろす。ちらりと目をくれた香月さんだったけど、それ以上はなにもない。<br />
　つまんないなぁ、せっかく２人っきりなのに、会話なしかよ。でも脚本修正の邪魔はしたくないしなぁ。<br />
　仕方なしに香月さんの真剣な顔を見ながらよからぬ妄想をしてみた。が、本人は寒気を感じたり悪寒が走ったりしなかったらしい。つまんない。香月さんの目はパソコンの画面に釘づけだ。少しと言わず、かなりの熱意でその画面になりたい。香月さんの視線を一身に受けられるなんて羨ましすぎる。嫉妬だね。羨望だね。だってオレなんて一瞬だもん。やってらんないわー。<br />
<br />
「そういえば今日」<br />
「うん？」<br />
「あじさい咲いてたね」<br />
「ああ、あちこちに」<br />
「あれ、同じ場所でも色違って面白い」<br />
<br />
　ほんとにねぇ。20何年と生きてたけど、新しい発見を今日したよ。ええ？　香月さんも？  すっごい偶然。すっごい運命。感じない？  感じるよね？  オレは感じるけどなぁ。ダメ？　なし？　ありでしょ、運命ありでしょ。<br />
　なんて、<br />
<br />
「思わず携帯で撮っちゃった」<br />
<br />
　顔を上げずに、香月さんが少し離れたところに投げ出された携帯を指差す。大きく口を開けたかばんの上で、腹を見せてひっくり返っている真っ白な携帯。<br />
　へー、と差し障りない返事をしながら香月さんの携帯へ手を伸ばす。<br />
　香月さんにとってはささいなことなのかもしれないけど、恋する男のオレからすればすごく大きな出来事だって、ねぇあなた、わかってるの？<br />
　ほんとにもう、悔しいぐらい好き。大好き。<br />
<br />
<br />
<br />
]]>
    </description>
    <category>未選択</category>
    <link>http://hohoihoi.blog.shinobi.jp/%E6%9C%AA%E9%81%B8%E6%8A%9E/%E5%90%9B%E3%81%B8%E3%81%AE%E6%80%9D%E3%81%84%E3%81%AF%E5%B8%B8%E3%81%AB%E7%9B%B4%E7%B7%9A%E3%81%AA%E3%81%AE%E3%81%A7%E3%81%99</link>
    <pubDate>Wed, 17 Jun 2009 23:15:38 GMT</pubDate>
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  </item>
    <item>
    <title>ファンタジーなのは分かる</title>
    <description>
    <![CDATA[　体が前のめりになる。振り返った××が手を伸ばしてきたが間に合わなかった。私は、自分で手をつくこともできずに、無様に地面へ倒れた。<br />
<br />
「×××！」<br />
<br />
　砂が口に入った。じゃりじゃりする。気持ち悪い。吐きたい。のに、せり上がってくるそれを体外に吐き出す力がない。起きなきゃ。死んじゃう。私も、彼も、このままじゃ死んじゃう。それだけはイヤ。私も彼も死にたくない。死なせたくない。だから、起きなきゃいけないのに。<br />
<br />
<br />
----------------------------------------<br />
しかしなにをしたかったのかが分からない／(^O^)＼名前すら決まってないってどういうことだ／(^O^)＼<br />
]]>
    </description>
    <category>未選択</category>
    <link>http://hohoihoi.blog.shinobi.jp/%E6%9C%AA%E9%81%B8%E6%8A%9E/%E3%83%95%E3%82%A1%E3%83%B3%E3%82%BF%E3%82%B8%E3%83%BC%E3%81%AA%E3%81%AE%E3%81%AF%E5%88%86%E3%81%8B%E3%82%8B</link>
    <pubDate>Mon, 15 Jun 2009 04:56:51 GMT</pubDate>
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  </item>
    <item>
    <title>逢えないのは</title>
    <description>
    <![CDATA[　大丈夫、大丈夫、オレは今、笑えている。<br />
<br />
「最近連絡ねぇからよ、死んだと思ったよ」<br />
「はは、ワリ」<br />
「思ってねぇくせによー。今度飲もうぜ、お前の彼女、まだ見てねぇし」<br />
「それ、なんだけどさ」<br />
<br />
　電話のコードをつかむ手が震えている。<br />
　「ん？」と電話越しに首を傾げる気配がする。沈黙。が怖くて口を開いた。息を吸って、飲む。<br />
<br />
「別れた」<br />
<br />
　たった４文字の出来事だというのに、どうしてこんなにも心臓が痛いのだろうか。<br />
　落ち着かなくて、背とソファの間にいたクッションをつかむ。ひざと胸の間に挟んで強く抱きしめた。<br />
<br />
「そーか」<br />
<br />
　吐く息とともに耳に届いた声に、泣きたくなる。「けっこう長かったのにな」優しい声に、口が歪む。ダメだ、ここは耐えるところだ。<br />
　唇をかむ。向こうから「そっか」と再度かみしめるような声がした。ダメだ。負けるなオレ。勝負の相手は分からないけど、ここで泣いたら負けだ。<br />
<br />
「ま、今度飲もうぜ。あとかわいい子紹介してくれよ」<br />
「おっけーおっけー」<br />
<br />
　ははは、と笑い合い、２、３言葉を交わして電話を切る。<br />
　大丈夫、大丈夫。目をつぶる。<br />
　クッションから漂う香りにめまいがしたが、悔しいので肺いっぱいに吸い込んでやった。<br />
　昨日は今日の過去で、明日は今日の未来だって、誰かがそんな当たり前のことを歌っていたのを思い出す。胸が痛い。心臓が苦しい。その曲、誰のものだっけ。<br />
　窓から差し込む光はやわらかく、世界は幸福で満ち溢れているというのにオレは今、そんな気分になれない。<br />
　昨日も今日も、太陽は優しかった。<br />
　いつだって彼女は、優しかった。<br />
<br />
<br />
]]>
    </description>
    <category>現代</category>
    <link>http://hohoihoi.blog.shinobi.jp/%E7%8F%BE%E4%BB%A3/%E9%80%A2%E3%81%88%E3%81%AA%E3%81%84%E3%81%AE%E3%81%AF</link>
    <pubDate>Sat, 30 May 2009 16:39:36 GMT</pubDate>
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    <item>
    <title>そりゃあ誰だって明日に向かうさ</title>
    <description>
    <![CDATA[　手を伸ばせば届く距離にいるはずだ。ひざは先ほどから何回もぶつかっている。それなのに、距離を感じるのは何でだろう。<br />
　葉（よう）は焼き鳥をくわえながらぼんやりと考える。んなの心が遠いからに決まってんじゃん。バカみたい。<br />
　バイト仲間４人で飲み会を開いた。男２人は快調なペースでアルコールを摂取し、とてもとても気持ちよさそうに口を大きく開いて笑っている。<br />
　それを見る高瀬の目は優しく、いつも以上にキレイだった。<br />
<br />
「葉ちゃん飲まないの？」<br />
「飲んでますよ」<br />
「全然減ってない」<br />
「飲むの、遅いんで」<br />
<br />
　なにもついていない串をかじる。隣りが見れない。目を合わせられない。<br />
　ふ、と笑う声がして、葉のグラスがさらわれる。目で追うと、大半の氷が溶けてたカルピスサワーは柳の前に置かれ、変わりに今し方店員が持ってきたカシスオレンジが差し出される。<br />
　戸惑うように顔を見れば、高瀬はいたずらっ子のような顔で笑っていた。<br />
<br />
「新しいやつの方がおいしいでしょ」<br />
「でも」<br />
「大丈夫大丈夫。柳くん、カルピスサワー好きだよね？」<br />
「うんー。好き好き、ちょーすきー」<br />
<br />
　うはははと柳は三宮と顔を合わせて笑い合う。グラスをつかんでのどを鳴らしてそれを飲む。葉は、自分がぽかんとしているのに気づいていたが、口が閉じられなかった。<br />
　玉子焼きをおいしそうに頬張る柳を見つめていたら、耳に息が吹きかけられた。<br />
<br />
「たか」<br />
「柳くん、優しいから」<br />
「……知ってます」<br />
「好きになっちゃいそう？」<br />
「そんなの」<br />
<br />
　小声のやりとり。テーブルの向かいではなにかを分かり合えたのか、柳と三宮が抱き合って喜んでいる。子どものように笑う柳はかわいい。だけど、あたしが好きなのは。<br />
<br />
「葉ちゃん睨まないで。かわいい顔がだいなし」<br />
<br />
　頬を撫でる細い指に、背筋がぞくぞくした。微笑む顔に、胸が苦しくなる。<br />
　こんなの、卑怯だ。返す言葉もなく、葉はカシスオレンジをつかみ、一気にあおる。<br />
　酒がなんだ。酔いがなんだ。そんなの、この胸の痛みに比べれば小さいことだ。<br />
　高瀬が店員を呼ぶ。なに飲む？  耳打ちをされた気がしたが、答える気にならなかった。葉は高瀬をしっかりと抱きしめ、肩に顔を埋めた。<br />
　どうにでもなれってんだ。全部全部お酒のせいにして、明日には忘れてしまえばいい。先のことなんて知るか。だって、さっき、柳さんと三宮さんだって喜びの抱擁を交わしていた。<br />
<br />
「ふふ、お酒っていいね」<br />
<br />
　葉の、パーマのかけられた髪の中に高瀬の指が入る。くしゃくしゃに撫でられても葉は動かなかった。動けなかった。<br />
　しっかりと高瀬をつかんだまま、酒だけではない理由で顔を赤くしていた。<br />
　高瀬さん、いいにおいする。<br />
　鼻孔をくすぐるのは香水の香りだけで、たばこの香りはまったく染みついていなかった。<br />
<br />
<br />
<br />
]]>
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    <category>未選択</category>
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    <pubDate>Thu, 14 May 2009 23:58:41 GMT</pubDate>
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    <title>ライブ会場には人間の様々な思いと熱と感情が渦巻いてるよね</title>
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    <![CDATA[「おつかれー」<br />
<br />
　ふってわいた声に息を飲む。<br />
　私は顔を上げ、ひらひらと手を振る高瀬さんを視界に入れると「なんでいるんですか」自然とかわいくない言葉が口から出た。<br />
　しかし高瀬さんはそんなこと気にしない。にやにやと、いつものように意地の悪い、いやらしい笑みを浮かべてテーブルの上の紙を指でさした。<br />
<br />
「シフト出しに来ただけだよ」<br />
「なら」<br />
「でも、葉（よう）ちゃんの顔見に来たのが本音」<br />
「は」<br />
「っていったら葉ちゃん喜んでくれる？」<br />
<br />
　ああ本当に腹が立つ！<br />
　いちいち感情を上げたり下げたりするのが面倒だからいつだって低めでいたいと思うのに、高瀬さんと話しているとそれができない。できない理由がわかってるから余計に腹が立って仕方ない。<br />
　高瀬さんだってわかってるはずだ。だから余計にたちが悪い。確信犯で、私の心を乱す。<br />
<br />
「25日、葉ちゃんヒマ？」<br />
「え？」<br />
「でっかい愛とか希望を探してるんでしょ？」<br />
「え、え？」<br />
<br />
　手書きのシフト表の下からチケットが２枚出てきた。思わず前のめりになる。高瀬さんはそれを、私の目から隠すようにシフト表を動かす。反射で手を出したらつかまれた。<br />
　ちらりと見えた文字が嘘じゃなければ、そのチケットは私の好きなアーティストのライブチケットだ。でも、彼が好きって高瀬さんにいったことはない、はず。<br />
<br />
「葉ちゃん、25日、ヒマ？」<br />
「それ、どうやって」<br />
<br />
　頭の中がいっぱいいっぱいだった私は、バイトの疲れもあってついうっかりその質問を口にしてしまった。<br />
　高瀬さんはシフト表の下からチケットを出し、口の端を持ち上げて憎らしいほどキレイに微笑む。<br />
　忘れていた。きれいさっぱり忘れていた。<br />
　彼女には強力な<br />
<br />
「さぁちゃんにお願いしたんだよ」<br />
<br />
　コネがあることを。<br />
　チケットには私の好きなアーティスト名がしっかりばっちり印刷されていて、私は下唇を噛むしかなかった。<br />
　断る理由も言葉もメリットも見つからなかったからだ。<br />
<br />
<br />
<br />
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    <category>未選択</category>
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    <pubDate>Thu, 07 May 2009 00:03:49 GMT</pubDate>
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