ごつ、と鈍い音を立てて、私の額はテーブルと正面衝突をした。いたいとは思わなかった。ただ、涙が止まらなかったのが悔しかった。
木目が歪む。
顔を上げれば明かりのついていない薄暗い自室が広がる。昨夜となんら変化のない部屋だ。いつ見たって生活感のかけらもない。
「どうして」
つぶやきは世界に生まれたのだろうか。私は今、声が出たのだろうか。
握った拳が伝えるのは、部屋の寒さと自身の低温だけだった。
----------
いつだって大切なものはなくしてから気づくんだ。
木目が歪む。
顔を上げれば明かりのついていない薄暗い自室が広がる。昨夜となんら変化のない部屋だ。いつ見たって生活感のかけらもない。
「どうして」
つぶやきは世界に生まれたのだろうか。私は今、声が出たのだろうか。
握った拳が伝えるのは、部屋の寒さと自身の低温だけだった。
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いつだって大切なものはなくしてから気づくんだ。
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「どうしたのその顔」
頬につめのひっかき傷を3本つけた友人が部屋に入ってきた。コントローラーのスタートボタンを押す。テレビの画面が変わり、俺は友人を見上げた。
唇をとがらせ、眉間にしわを寄せた友人は俺のベッドに座ると「みっちゃんが」口を開いたかと思えばすぐに言葉を切り、体をひねっていた俺の後ろのテレビをあごでさし「続ければ」「あ、うん」実は腰が痛かったので今のお言葉は大変ありがたい。素直に体を戻した。
「で?」
「未来にやられた」
「だろうなぁ。なんで?」
お、コンボ決まった。
「知らない。なんか怒ってた。ベッドがどうのって言ってたけど」
「ベッド?」
テレビを見ながら首を傾げると、友人がベッドに倒れる音がする。画面には「YOU WIN」の文字。違うゲームするかな。
なにをやろうかと考えていたらくぐもった声が後ろから聞こえた。
「伝わってないのかなぁ」
「ゆーまの愛?」
「そ」
「伝わりにくいかもねぇ。わかりにくいから」
ディスクを取り替える。大きなため息は友人のもの。「わかりやすいだろー」「いやいやいや」「祥」「なにさ」「好きだ」「はいはい」「なんだその反応」「照れ隠し照れ隠し」「うそつけよー」
コントローラーを後ろに投げると「あぶね」と聞こえた。もそもそ動く音がするから、友人もゲームをやるのだろう。
「痛いなー」
声に反応して振り返ると、眉間にしわを寄せた友人は頬のひっかき傷を触っていた。
●●○
二人のキャラが固まらない/(^O^)\
頬につめのひっかき傷を3本つけた友人が部屋に入ってきた。コントローラーのスタートボタンを押す。テレビの画面が変わり、俺は友人を見上げた。
唇をとがらせ、眉間にしわを寄せた友人は俺のベッドに座ると「みっちゃんが」口を開いたかと思えばすぐに言葉を切り、体をひねっていた俺の後ろのテレビをあごでさし「続ければ」「あ、うん」実は腰が痛かったので今のお言葉は大変ありがたい。素直に体を戻した。
「で?」
「未来にやられた」
「だろうなぁ。なんで?」
お、コンボ決まった。
「知らない。なんか怒ってた。ベッドがどうのって言ってたけど」
「ベッド?」
テレビを見ながら首を傾げると、友人がベッドに倒れる音がする。画面には「YOU WIN」の文字。違うゲームするかな。
なにをやろうかと考えていたらくぐもった声が後ろから聞こえた。
「伝わってないのかなぁ」
「ゆーまの愛?」
「そ」
「伝わりにくいかもねぇ。わかりにくいから」
ディスクを取り替える。大きなため息は友人のもの。「わかりやすいだろー」「いやいやいや」「祥」「なにさ」「好きだ」「はいはい」「なんだその反応」「照れ隠し照れ隠し」「うそつけよー」
コントローラーを後ろに投げると「あぶね」と聞こえた。もそもそ動く音がするから、友人もゲームをやるのだろう。
「痛いなー」
声に反応して振り返ると、眉間にしわを寄せた友人は頬のひっかき傷を触っていた。
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二人のキャラが固まらない/(^O^)\
おいでおいでと手招きをする彼の顔は、まるでいたずらっこがするように口の両端を上げて笑っていて、私は首を傾げながら彼の元へと歩いた。
大きく開けられた窓から風が入る。カーテンがはためき、彼の顔を隠す。
「タツヤ?」
隣に座り、名前を呼ぶ。
彼は動かない。
顔は見えない。
私は不安になる。どうしたの。口を開き、手を伸ばしたとき気がついた。
私、夢を見ているんだ。
久しぶりに柔らかい布団で寝て、久しぶりに夢を見ているんだ。彼に触れて伝わる体温は彼自身のものではない。
覚めないで、覚めないで。
「タツヤ」
目を開けてしまったら、受け入れたくない現実がそこにはあるから。
大きく開けられた窓から風が入る。カーテンがはためき、彼の顔を隠す。
「タツヤ?」
隣に座り、名前を呼ぶ。
彼は動かない。
顔は見えない。
私は不安になる。どうしたの。口を開き、手を伸ばしたとき気がついた。
私、夢を見ているんだ。
久しぶりに柔らかい布団で寝て、久しぶりに夢を見ているんだ。彼に触れて伝わる体温は彼自身のものではない。
覚めないで、覚めないで。
「タツヤ」
目を開けてしまったら、受け入れたくない現実がそこにはあるから。
「藤くん」
ぎこちなさを極力隠し、私は彼氏を呼ぶ。彼氏。藤くんは、彼氏。その違和感に私は首を傾げたくなった。クリスマスの雰囲気に便乗して告白、困ったように笑いながら交際スタート、年が明けて新学期が始まり世の中がチョコだなんだと浮き足立っている2月現在、交際は継続している。
幸せなはずなのに、どこかがおかしい。
「どうしたの、矢尾さん」
原因は明確だ。歴然としている。誰が見たってわかる問題。
お互いがお互いを名字で呼んでいる。
それが悪いわけではない。そういうカップルだっている。二人の中に流れる空気として不自然さがなければ、それはそれでいいと思う。
「名前で呼ばれるのはちょっと、あんまり、好きじゃないかな」
「そっか」
深く追求できなかった。
ぎこちなさを極力隠し、私は彼氏を呼ぶ。彼氏。藤くんは、彼氏。その違和感に私は首を傾げたくなった。クリスマスの雰囲気に便乗して告白、困ったように笑いながら交際スタート、年が明けて新学期が始まり世の中がチョコだなんだと浮き足立っている2月現在、交際は継続している。
幸せなはずなのに、どこかがおかしい。
「どうしたの、矢尾さん」
原因は明確だ。歴然としている。誰が見たってわかる問題。
お互いがお互いを名字で呼んでいる。
それが悪いわけではない。そういうカップルだっている。二人の中に流れる空気として不自然さがなければ、それはそれでいいと思う。
「名前で呼ばれるのはちょっと、あんまり、好きじゃないかな」
「そっか」
深く追求できなかった。
陸、と呼べば振り返る。有希子さん、と私の名前を呼んで、笑顔つき。最高じゃないの。ふわふわの髪は陽が当たるとまぶしいオレンジだ。
なでようと手を伸ばしたら人差し指の先をつかまれ、ちゅ、と擬音がつきそうなかわいらしいキスをされた。陸のやわらかい唇。
●●○
年下の無邪気攻がいいよ!という主張をまわりに認めてもらおうと書き出したのはいいけど、浮かばなかったから途中で投げた文章。
なでようと手を伸ばしたら人差し指の先をつかまれ、ちゅ、と擬音がつきそうなかわいらしいキスをされた。陸のやわらかい唇。
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年下の無邪気攻がいいよ!という主張をまわりに認めてもらおうと書き出したのはいいけど、浮かばなかったから途中で投げた文章。