とんとんとん、と軽快なリズムを包丁とまな板が奏でる。テレビの音量を下げた。彼が振り返る。「どうしたんですか」「別にー」リモコンをテーブルにすべらせ、私はソファーの上でひざを抱えた。
パソコンの画面が暗くなる。マウスを動かしたらすぐについた。君が光ってないと、私はなにもしてないことになるんだ、それはまずいから消えないでいてね。くるくると意味もなくカーソルを回し、それから油で炒められている野菜の断末魔を聞く。
あーおいしそ。
律儀にエプロンをつけた彼はせわしなく台所を動く。ここ、誰んちだよ。家主より台所知ってんだろ、お前。勝手知ったるなんとやら。憎たらしい。
野菜炒めを作る彼の背中にべろを出す。お前は私のなんなんだ。彼氏か、女房か、いやいや後輩だな。世話好きの後輩だ。それ以上でも以下でもない。
「香月(かつき)さん」
振り返った彼と目が合う。右手にわかめ、左手にねぎ。「どっちがいいですか」「両方」「はーい」弟と呼べるほど、仲良くないしね。
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みそ汁の具。
パソコンの画面が暗くなる。マウスを動かしたらすぐについた。君が光ってないと、私はなにもしてないことになるんだ、それはまずいから消えないでいてね。くるくると意味もなくカーソルを回し、それから油で炒められている野菜の断末魔を聞く。
あーおいしそ。
律儀にエプロンをつけた彼はせわしなく台所を動く。ここ、誰んちだよ。家主より台所知ってんだろ、お前。勝手知ったるなんとやら。憎たらしい。
野菜炒めを作る彼の背中にべろを出す。お前は私のなんなんだ。彼氏か、女房か、いやいや後輩だな。世話好きの後輩だ。それ以上でも以下でもない。
「香月(かつき)さん」
振り返った彼と目が合う。右手にわかめ、左手にねぎ。「どっちがいいですか」「両方」「はーい」弟と呼べるほど、仲良くないしね。
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みそ汁の具。
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「近くにパン屋があるでしょ?」
三宮の言葉に、小鳥遊は反応を示さなかった。おいしそうだったから、という理由で買ったケーキにはサンタと小さな小屋とメリークリスマス!と書かれたチョコが乗っていた。家に帰り、中身を見た三宮が「クリスマスケーキだ」というまで、小鳥遊はクリスマスそのものの存在を忘れていた。
生クリームがたっぷりとかかっているそれは、食べても食べても終わりが見えない。フォークをくわえたまま、小鳥遊はパン屋? と返した。
「うちのコンビニの通りに、パン屋。あるじゃん」
「んー?」
「カレー屋の隣りに!」
「ああ!」
いちごにフォークを突き刺して思い出す。あったあった、あれパン屋だ、ときどき買うけど、そこがどうしたの。
「そこの店員が、誕生日なんだって。今日」
「今日?」
「クリスマスイブ」
「へー」
「甘いもの、好きだったと思うけど」
一拍置いてから二人は顔を合わせ、うなずき合う。よし、とつぶやいて立ち上がる三宮に、小鳥遊は「え?」と返した。
「携帯とか」
「客の番号聞かないよ」
「でも俺の」
「アンタのは聞かなきゃオレが損するでしょうが」
「ああ……」
「ホラ、店に行くよ」
のそのそと立ち上がり、つるしてあったコートをつかむ。スタジャンを羽織った三宮はすでに玄関にいる。くつも履き終わったようだ。
早いなぁ。思いながら、部屋の電気を消す。マフラーを巻きながら玄関に向かうと、三宮がドアを開けた。
「さむっ」
「早く早く」
吐いた息が白くて、それだけでくじけたかった。しかし甘いにおいが充満している部屋に戻る気もしなくて、仕方なしに外へ出る。
近所の電飾がいやに明るく見えた。
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なにもいえない第7弾。
季節ネタを書きたくて書いたのに、なんも祝えてないというオチorz
三宮の言葉に、小鳥遊は反応を示さなかった。おいしそうだったから、という理由で買ったケーキにはサンタと小さな小屋とメリークリスマス!と書かれたチョコが乗っていた。家に帰り、中身を見た三宮が「クリスマスケーキだ」というまで、小鳥遊はクリスマスそのものの存在を忘れていた。
生クリームがたっぷりとかかっているそれは、食べても食べても終わりが見えない。フォークをくわえたまま、小鳥遊はパン屋? と返した。
「うちのコンビニの通りに、パン屋。あるじゃん」
「んー?」
「カレー屋の隣りに!」
「ああ!」
いちごにフォークを突き刺して思い出す。あったあった、あれパン屋だ、ときどき買うけど、そこがどうしたの。
「そこの店員が、誕生日なんだって。今日」
「今日?」
「クリスマスイブ」
「へー」
「甘いもの、好きだったと思うけど」
一拍置いてから二人は顔を合わせ、うなずき合う。よし、とつぶやいて立ち上がる三宮に、小鳥遊は「え?」と返した。
「携帯とか」
「客の番号聞かないよ」
「でも俺の」
「アンタのは聞かなきゃオレが損するでしょうが」
「ああ……」
「ホラ、店に行くよ」
のそのそと立ち上がり、つるしてあったコートをつかむ。スタジャンを羽織った三宮はすでに玄関にいる。くつも履き終わったようだ。
早いなぁ。思いながら、部屋の電気を消す。マフラーを巻きながら玄関に向かうと、三宮がドアを開けた。
「さむっ」
「早く早く」
吐いた息が白くて、それだけでくじけたかった。しかし甘いにおいが充満している部屋に戻る気もしなくて、仕方なしに外へ出る。
近所の電飾がいやに明るく見えた。
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なにもいえない第7弾。
季節ネタを書きたくて書いたのに、なんも祝えてないというオチorz
「みみやくーん、クリスマスだぁー」
いつものように黄色いパーカーと、グレーのスウェットズボン、スニーカー、それとモノクロチェックのストール(これは新しい)を巻いた相馬(そうま)が、レジの正面に設置されたクリスマスコーナーで足を止め、レジの中に入っている三宮(さんのみや)に声をかけた。ふわふわの頭を後ろから見つめ、三宮は両手を上へ伸ばした。
そーっスねー、そろそろクリスマスだ。首を左右に傾けるとポキポキ鳴った。肩凝ったなぁ。早くバイト終わんないかなぁ、セリフ覚えたいのに。
サンタをかたどったチョコが入った箱をつかみ、相馬が振り返る。「みみやくん、チョコ好き?」「ふつうですかね」「そっか」くるり。またクリスマスコーナーを見つめる。
しばらく考えていたようだったが、箱を棚に戻すといつものお菓子コーナーに向かった。迷うことなくポテトチップスの袋をつかみ、ドリンクコーナーでミルクティを1本取り出す。まばらな客の入りだというのに、相馬は妙に目立つ。黄色いパーカーのせいなのか、茶色のパーマ頭のせいなのか、彼の放つ空気のせいなのか。
相馬はレジに物を出す前に、クリスマスコーナーで先ほどのサンタチョコをつかむ。「お願いしまーす」「はーい」ポテトチップス、ミルクティ、サンタチョコ。レジに通して会計を済ませる。白いビニール袋にそれらを入れて相馬に渡した。
「これ、みみやくんにクリスマスプレゼント」
いいながら、相馬はサンタチョコの箱を袋から出す。三宮は驚いて、相馬を見た。にこにこと笑っている。ご機嫌だなぁ。
「なんでまた」
「なんとなく? メリークリスマスー。今度パン買いにきてねー」
ひらひらと手を振り、相馬はさっさと店から出ていってしまった。三宮はレジの中でカウンターに残されたサンタを見る。かわいくねぇなぁ、と納品されたその日に思った。誰が買うんだよコレ、と思っていた。
なのに。
「プレゼントってあの人……」
これをかわいいとでも思ったのだろうか。
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なんもいえねー第6弾。
いつものように黄色いパーカーと、グレーのスウェットズボン、スニーカー、それとモノクロチェックのストール(これは新しい)を巻いた相馬(そうま)が、レジの正面に設置されたクリスマスコーナーで足を止め、レジの中に入っている三宮(さんのみや)に声をかけた。ふわふわの頭を後ろから見つめ、三宮は両手を上へ伸ばした。
そーっスねー、そろそろクリスマスだ。首を左右に傾けるとポキポキ鳴った。肩凝ったなぁ。早くバイト終わんないかなぁ、セリフ覚えたいのに。
サンタをかたどったチョコが入った箱をつかみ、相馬が振り返る。「みみやくん、チョコ好き?」「ふつうですかね」「そっか」くるり。またクリスマスコーナーを見つめる。
しばらく考えていたようだったが、箱を棚に戻すといつものお菓子コーナーに向かった。迷うことなくポテトチップスの袋をつかみ、ドリンクコーナーでミルクティを1本取り出す。まばらな客の入りだというのに、相馬は妙に目立つ。黄色いパーカーのせいなのか、茶色のパーマ頭のせいなのか、彼の放つ空気のせいなのか。
相馬はレジに物を出す前に、クリスマスコーナーで先ほどのサンタチョコをつかむ。「お願いしまーす」「はーい」ポテトチップス、ミルクティ、サンタチョコ。レジに通して会計を済ませる。白いビニール袋にそれらを入れて相馬に渡した。
「これ、みみやくんにクリスマスプレゼント」
いいながら、相馬はサンタチョコの箱を袋から出す。三宮は驚いて、相馬を見た。にこにこと笑っている。ご機嫌だなぁ。
「なんでまた」
「なんとなく? メリークリスマスー。今度パン買いにきてねー」
ひらひらと手を振り、相馬はさっさと店から出ていってしまった。三宮はレジの中でカウンターに残されたサンタを見る。かわいくねぇなぁ、と納品されたその日に思った。誰が買うんだよコレ、と思っていた。
なのに。
「プレゼントってあの人……」
これをかわいいとでも思ったのだろうか。
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なんもいえねー第6弾。
窓の外は豪雨だった。未来(みく)は唇をとがらせ、コーンスープをすする。出窓に腰を下ろし片足を立てる。スカート。短いからパンツ、見えるよ、と笑った有真(ゆうま)は今、パソコンに夢中だ。
課題が大変でねぇ、といっていたが、わずかに見える画面からはスクール水着に身を包んだ幼い顔の女が見える。どんな課題だよ。窓に額を当て目をつぶった。
ケーキ食べたい。生クリームがふわふわしてて、スポンジが適度にかための、おいしいショートケーキ。いちごが食べたいのかも。
窓をたたく雨音を肌で感じながら未来はショートケーキに思いを馳せる。雷鳴に唇の端を持ち上げた。このままずっと雨が降り続けて、雷も鳴りっぱなしだといいのに。そしたらずっと有真の家にいれる。
目を開けると、遠くの空が光った。数を数える。どんどんこっちに来い、と思った。
課題が大変でねぇ、といっていたが、わずかに見える画面からはスクール水着に身を包んだ幼い顔の女が見える。どんな課題だよ。窓に額を当て目をつぶった。
ケーキ食べたい。生クリームがふわふわしてて、スポンジが適度にかための、おいしいショートケーキ。いちごが食べたいのかも。
窓をたたく雨音を肌で感じながら未来はショートケーキに思いを馳せる。雷鳴に唇の端を持ち上げた。このままずっと雨が降り続けて、雷も鳴りっぱなしだといいのに。そしたらずっと有真の家にいれる。
目を開けると、遠くの空が光った。数を数える。どんどんこっちに来い、と思った。
「結婚するの?」
「そぉですよー」
指でまつげのカールを確かめながらフミコは答える。隣りに並ぶタカコはますます目を丸くし、フミコの茶色い頭を見た。鏡越しにフミコはタカコを見上げ、にっこり笑った。タカコがそれに気づき、同じように鏡越しにフミコを見る。
「なに笑ってんのよ」
「いいえー、アベさんは大変だなぁって思っただけです」
「大変?」
片まゆを上げる。
ビューラーをポーチに仕舞うと、フミコは鏡と向き合っていた上半身をねじり、人差し指をあごに当てた。「だってぇ」ファンデーションをしまいながらタカコが言葉の続きを待つ。
「愛があったってお金がなかったら将来苦労しますよ?」
「なによそれ」
「愛っていつかはなくなるものです。だったら、最初からない方がいいに決まってます」
ポーチのチャックを閉めながらフミコは言い切った。違いますか? タカコの顔を覗き込むと逸らされる。唇をとがらせ、フミコは自身の髪に手を入れてパーマを起こす。
鏡から顔を逸らしたタカコは、
「じゃああなたのその結婚にはなにがあるのよ」
「お金です」
スカートを翻しトイレから出て行くフミコに言葉をなくした。
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「お金はないけど愛がある結婚って、愛がなくなったときどうするんですか?」
仕事はできるけどプライドが高い女と、かわいいけど計算高い女の話? とか思ったけど、YOUはペットみたいになるなぁと思った。もっと性格悪い感じになる。マジ惚れしない。悲しむ顔見たくないとかいわない。
金ない男→プ高女→金持ち男→算高女のやじるし関係。
「そぉですよー」
指でまつげのカールを確かめながらフミコは答える。隣りに並ぶタカコはますます目を丸くし、フミコの茶色い頭を見た。鏡越しにフミコはタカコを見上げ、にっこり笑った。タカコがそれに気づき、同じように鏡越しにフミコを見る。
「なに笑ってんのよ」
「いいえー、アベさんは大変だなぁって思っただけです」
「大変?」
片まゆを上げる。
ビューラーをポーチに仕舞うと、フミコは鏡と向き合っていた上半身をねじり、人差し指をあごに当てた。「だってぇ」ファンデーションをしまいながらタカコが言葉の続きを待つ。
「愛があったってお金がなかったら将来苦労しますよ?」
「なによそれ」
「愛っていつかはなくなるものです。だったら、最初からない方がいいに決まってます」
ポーチのチャックを閉めながらフミコは言い切った。違いますか? タカコの顔を覗き込むと逸らされる。唇をとがらせ、フミコは自身の髪に手を入れてパーマを起こす。
鏡から顔を逸らしたタカコは、
「じゃああなたのその結婚にはなにがあるのよ」
「お金です」
スカートを翻しトイレから出て行くフミコに言葉をなくした。
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「お金はないけど愛がある結婚って、愛がなくなったときどうするんですか?」
仕事はできるけどプライドが高い女と、かわいいけど計算高い女の話? とか思ったけど、YOUはペットみたいになるなぁと思った。もっと性格悪い感じになる。マジ惚れしない。悲しむ顔見たくないとかいわない。
金ない男→プ高女→金持ち男→算高女のやじるし関係。